要望と見解5と6

日本学術会議幹事会声明
「STAP 細胞事案に関する理化学研究所への要望と日本学術会議の見解について」

5.「提言書」では、再現実験の監視、論文検証、及び理研による改革をモニタリング評価するために「理化学研究所調査・改革監視委員会」の設置と、その際に日本学術会議による援助・助言を得ることによって、理研改革に科学者コミュニティ及び社会の意見を反映させることを求めています。日本学術会議は、6でも述べるように、我が国の科学研究における健全性を向上させることに責任があると認識しており、理研が健全性を回復するために行うすべての行動を支援する所存です。
6.研究不正問題に関して昨年来発生した諸事案や種々の対策に関わる提案に対応して、文部科学省では、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」をまとめつつあり、日本学術会議も積極的に協力しています。

このガイドライン案では、個々の研究者のみならず、所属する研究機関にも不正防止の責任を果たすことを求めています。研究機関が、そこに所属する研究者の研究活動および研究費使用において不正が生じることのないよう、より積極的な役割を果たすことは、不正撲滅の実を上げるために極めて重要です。日本学術会議も、我が国の科学研究における健全性を向上させることに責任を負う立場から、この考え方を支持し、研究機関等が不正防止や解明の措置をとる際に協力を惜しみません。

[声明]「提言書」を無視し、改革を進めているふりをするのですか?

 要望と見解5で述べられている事は、実はとても強い批判です。「6月12日に『研究不正再発防止のための改革委員会』(岸輝雄委員長)が、理研野依良治理事長に提出した『研究不正再発防止のための提言書』では『理化学研究所調査・改革監視委員会』の設置を求めています。でも、40日以上が過ぎましたが、未だにそれは設置されていませんね。私達は、科学者コミュニティ及び社会の意見をきちんと反映する形で、理研が改革されるべきだと考えます。」になります。

 この言葉の後ろには、「あなた達が、不祥事に向き合いたくないと考えている事はよく解りました。あなた達だけでは、そこにある不正を調査する事は不可能だと私たちは判断しています。」という言葉が隠れています。もちろん、表現としては「理研が健全性を回復するために行うすべての行動を支援する」になるわけですが。



 要望と見解6で述べられている事は、科学研究における健全性を向上させる為の努力が進行中だ、という事です。
 
 文部科学省が、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」の改定を進めている事はSTAP QUESTでも取り上げましたが、科学研究における健全性の向上というのは、科学への信頼を保つためにかかせないものです。まず、大きな注目を集めてしまった『STAP』でそれが見える形で示せなければ、先々多くの研究者達が非常に悪い影響を被る事になりかねません。

 すでに「不正」は成され、それを消すことはできません。しかも、「不正を行った小保方という研究者を厳重に処罰する」事にも失敗しています。日本の科学というものが負った「世界の科学界からの不信」という傷口は、対処を誤った為にさらに広がってしまったのです。そういう意味でも、この事例をあいまいにしようとしてきた「理研」の責任は重いものだと考えられます。



大事な文書は「普通のテキストで!」という常日頃からの主張に基づいて、これまでも日本学術会議やそれぞれの学会の声明はブラウザで読めるテキストとして転載してきました。なるべく多くの人達に読まれるべきだ、という考えに基づくものです。
以前と同様に、子供でも少し説明されればわかる様に、説明の文章とリンクをつけています。

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STAP QUEST