前文


引用部分の背景が色つきになっているのが、声明の本文です。
その他のサイトからの引用部分は白地で下部にリンクを記載してあります。

日本学術会議幹事会声明
「STAP 細胞事案に関する理化学研究所への要望と日本学術会議の見解について」

日本学術会議は、本年1月29日に理化学研究所(以下「理研」)発生・再生科学総合研究センター(以下「CDB」)から発表された STAP 細胞についての 2編の Nature 誌論文に、様々な不正が見いだされた問題に重大な関心をもち、3月19日には会長談話「STAP 細胞をめぐる調査・検証の在り方について」を発表しました。
3月19日の会長談話も普通のWebページにしてあります。
参考: STAP 細胞をめぐる調査・検証の在り方について


 3月19日の日本学術会議・会長談話「STAP 細胞をめぐる調査・検証の在り方について」では「本件について、まずは当該機関による調査によって、真実が早く明らかになることを強く期待します。」という言葉から談話が始まっている事に注意してください。この時期には、まだ「理研」がきちんと所属研究員による不正行為に対処できるだろう、と期待されていた事がうかがえます。

 この時に「要望」されたのは次の4点でした。

  1. 中間報告で不正行為の存在を否定するに至らなかった 4 項目について、今後どのような調査を行い、いつごろまでに結論を得るのかのスケジュールを示すこと。
  2. 調査に当たっては、外部のどのような職にある方が調査委員会に加わっているのかを示し、特に調査の中立性の観点から、委員長は外部の方に依頼することが望ましいこと。
  3. 本論文の核心である STAP 細胞を作製したという科学的主張の妥当性について、必要に応じて新たな態勢をとって検証すること。
  4. 今回の論文については、発生・再生科学総合研究センター(CDB)の幹部職員が共著者に加わり、当初、理化学研究所として成果をアピールしたにもかかわらず、既に中間報告でも多くの不適切な点が明らかにされていることから、研究実施及び論文作成・発表の過程における理化学研究所の組織ガバナンスの問題について検証すること。


 それから4か月が経過して、今では次のような事を指摘される事態になっています。

その後、理研内部での自主的調査などの結果が報告され、この問題は一部の図版の不正な置き換えに止まらず、研究全体が虚構であったのではないかという疑念を禁じ得ない段階に達しています。2 編の論文は取り下げられましたが、STAP 研究の革新性を必要以上に強調した記者会見もあって広く社会問題化したことに加え、指摘された研究不正の深刻さから、我が国の科学研究全体に負のイメージを与える状況が生み出されています。
 研究全体が虚構であったのではないかという疑念を禁じ得ない段階に達しています。 指摘された研究不正の深刻さから、我が国の科学研究全体に負のイメージを与える状況が生み出されています。、というのは、非常に厳しい指摘です。

 厳しい指摘がなされている背景として、6月11日に外部の第三者委員会による「研究不正再発防止のための提言書」が理事長に対して提出されているにも関わらず、その提言が実行されないまま、時間だけが経過している現状も考慮されたと考えられます。今回の日本学術会議の「要望と見解」の論点は、実は6月に出された「提言書」と重なり合っています。

再発防止のための改革の提言―研究不正の再発防止策として

  1. STAP問題に係る個人及び組織の責任を明確にし、相応の厳しい処分を行うこと
  2. 任期制の職員の雇用を確保したうえで早急にCDBを解体すること。新たなセンターを立ち上げる場合は、トップ層を交代し、研究分野及び体制を再構築すること
  3. STAP現象の有無を明らかにするため、科学的に正しい再現実験を行うこと
  4. 研究不正が認定されていない第2論文について、速やかに「科学研究上の不正行為の防止等に関する規程」に基づき調査を行い、研究不正行為の有無を明らかにすること。あわせて外部調査委員会による論文の検証を徹底して行うこと
  5. 「公正な研究の推進=研究不正行為の防止」を最上位命題に位置づけると共に、公正な研究の推進と研究不正防止を担う理事長直轄の本部組織(研究公正推進本部)を新設すること
  6. 研究不正を防止する「具体的な仕組み」を構築すること
  7. 理研のガバナンス体制を変更すること
  8. 外部有識者のみで構成される「理化学研究所調査・改革監視委員会」を設置し、再現実験の監視、論文検証を行うこと。また、理研の改革を着実に実行するため、監視委員会により本委員会の提言に基づく改革の実行をモニタリング・評価すること

 研究不正再発防止のための提言書 概要

 なぜ、こういう形で「三度目の指摘」がなされる事態に至ったのか、考えてほしいと思います。この期間に何が起きていたのか、振り返ってみましょう。


大事な文書は「普通のテキストで!」という常日頃からの主張に基づいて、これまでも日本学術会議やそれぞれの学会の声明はブラウザで読めるテキストとして転載してきました。なるべく多くの人達に読まれるべきだ、という考えに基づくものです。
以前と同様に、子供でも少し説明されればわかる様に、説明の文章とリンクをつけています。

続く
STAP QUEST