モノローグ:判定基準


『間違い』と『不正行為』は違うものです。

 小保方さんの写真が間違っていたことは、「おかしい」と指摘されて調査され、『不正行為』だと判定されました。でも、「おかしい」ものが全部不正行為だ、という事ではないのです。


 例えば、3mmの虫と書かなければならないものを間違えて3mにしたら、いきなり古代の巨大昆虫やら謎の宇宙生物やらが出現してしまいます。単純な間違いだけれど、意味は完全に変わってしまったりするのです。

 また、研究が進むにつれて、最初考えていたのとは違っていた、という事が起きる事があります。小さな四足歩行の生き物と、大きな二足歩行の生き物を並べて「別の種」と解説していたら、「小さいころは四つん這い、大きくなると普通に2本の足で歩く」という、単に人間と同じ成長過程での状態の違いにすぎない、と判定された事もありました。(恐竜の化石分類で、そういう話が実際にあったのです)

 これらは失敗だけれど、初めの話は「不注意」だし、後の話は「研究途上でかつて間違って分類されていた」だけで、研究が進んだので詳しい事がわかってきて説明が訂正されたというだけだったりします。両方とも間違いではあるのですが、不正行為ではありません。

 同じように「間違っていた」、と分類されていても中身はいろいろなのです。そして、料理研究家ギルドのように、してはいけない事がどんな事なのかは、ルールとしてきちんと決まっています。それを覚える、という事はとても大事な事です。


 例えば、他人の書いた文章をそっくりそのままコピーして自分が書いた文章の様に見せる事は、『剽窃(ひょうせつ』と呼ばれます。『剽窃』は、解りやすい言葉では『盗んだ』になります。不正行為とされるものです。

 また、自分に都合の良い部分だけコピーして、もともとの文章の意味と違う話に切り張りしたりする事も、悪意を持った行為と考えられています。


 『剽窃』と似ているようで全然違うものとして、『引用』があります。
 これは剽窃と同じように他人の書いた文章をそっくりそのままコピーする行為なのですが、自分が言いたいことが引用した文章と異なる・関連するなどの場合に、自分が何について話しているのか解りやすくする、などの目的で行われるものです。引用は、不正行為ではありません。

 している事は、同じ事ですから、何が違うのか覚えておきましょう。

 論文などでの「引用」の場合には、そこに有る文章(業績)が自分のものではなく、他の人のものだという事がはっきりわかるように区別して書き、誰のいつの文章で、どこでそれが確認できるのか、をきちんと正しく書かなければならないという規則が決まっています。

 当たりまえの事ですが、科学という分野では昔の人が見つけてくれた事が、延々と積み上げられて今の研究が存在しているのです。ほとんど全ての研究の前に、自分よりも前にそれを研究した人がいる状態になりますので、参照文献リストと呼ばれる、どの部分に書いた事が、誰のいつの文章なのかという事を示す部分がとても長い事はよく知られています。


 では、文章の全部を例えば自分のWebページにコピーして貼り付ける、という事をしたらどうでしょう? 例えば、今読んでいるこのページをそっくりコピーして、「私もそう思います」と書いたら? その話はもう少し後で説明をすることになりますから、考えてみてくださいね。



 コピーするのは簡単ですが、規則があります。そして、それはどんなに時間がたっても自分のものにはならないのだ、という事は覚えておきましょう。

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