要望と見解3

日本学術会議幹事会声明
「STAP 細胞事案に関する理化学研究所への要望と日本学術会議の見解について」

3.一方で、「提言書」で言及しているように、理研内にも問題の全容解明を目指し、自浄に向けて活動している研究者がいること、また理研CDBがこれまで若手の人材育成に貢献してきた結果として、現在も、今回の事案とは無関係に日々誠実に研究に取り組んでいる若手・中堅研究者がいることを忘れてはなりません。理研CDBの抜本的な組織改変が行われる場合には、日本の生命科学の発展にとって極めて重要との観点から、これらの若手・中堅研究者が、安心してその能力を発揮できる環境を整えることを要望します。
 この部分では、よりはっきりとした言葉で、守るべきは「理研CDB」という不正を引き起こした組織ではなく、そこで研究を続けている個々の研究者だ、と言及されています。

 「理研内にも問題の全容解明を目指し、自浄に向けて活動している研究者がいる」という事実、そこに「科学的な事実」を探求する研究者がいるというのは、歯がゆい思いで外部から「理研」という組織を見つめている日本学術会議のメンバーも含む研究者達にとって、小さな事ではないのです。

 それは子供向けの物語、『STAP QUEST』の中では次のような形で語られます。

 真夜中の酒場には、kahoさんの姿がありました。彼が話している内容について、「部門が違うとしても、同じ会社の中の事だろ? あんたそんな事しゃべって大丈夫なのかい?」、と気遣う声に彼が答えています。

 「いや、会社は僕が何をしているのか知っているけれど、それをやめるように妨害されてはいないよ。僕の目的は、実際に作られてもいない『STAP』調味料のレシピが一刻も早く取り下げられる事だし、なんでこんな事が起きたのかできる限り調べてほしいと思っているんだ。」、と話すkahoさんの声は真剣です。

 「疑問が沢山出ているレシピについて、しっかりした説明がされないままだと、科学の広野を探索する人達への信頼がなくなってしまいかねないし、会社への信頼もなくなりかねない。それに、この状態を曖昧にしておくと僕の研究にも支障がでそうだしね。それって、やっぱり困るよ。」、という彼の言葉にうなずいている人達があちこちで見られます。


 ここでもまた遠回しな言い方によって理研CDBの抜本的な組織改変が行われる場合には、日本の生命科学の発展にとって極めて重要との観点から、これらの若手・中堅研究者が、安心してその能力を発揮できる環境を整えることを要望します。と述べられています。

 はっきりした言い方をする場合には「理研CDBという組織には抜本的な組織改変が必要です。でも、処分が必要な人達以外の、日々誠実に研究に取り組んでいる若手・中堅研究者達は、日本の生命科学の発展にとって極めて重要な人達です。そういう人達が、安心してその能力を発揮できる環境を整えてください。」になるわけです。



大事な文書は「普通のテキストで!」という常日頃からの主張に基づいて、これまでも日本学術会議やそれぞれの学会の声明はブラウザで読めるテキストとして転載してきました。なるべく多くの人達に読まれるべきだ、という考えに基づくものです。
以前と同様に、子供でも少し説明されればわかる様に、説明の文章とリンクをつけています。

続く
STAP QUEST