Windows10の話で、スマートフォンにキーボードとマウスを接続して、大きな画面を使うという事が出ています。


少し前の事ですが、「OLPC」に対して「開発途上国では携帯電話」と発言したのがMSのビル・ゲイツ氏でした。

当時、学ぶためには画面の小さな携帯電話じゃ無理と書いています。その時に「長い文章を携帯の画面 /* 当時は3インチ以下だった */ で読むなど拷問だ」を叫んだついでに、携帯電話の画面に一文字ずつ表示して文章を読ませたら早く読めるのかどうか、という記事を出しました。

表音文字表意文字による相違はあるのですが、当然ながら「一覧性」は思考の為の大きな利点ですよね。普通は「何ページ前の画面」をすぐには取り出せないので。


というわけで「自分達が作れないからって、言いたい放題だな」レベルで怒ったのですが、実際にはそれから間もなくマシンはダウンサイジングを急速に進め ・・・ 現在では「スマートフォン」という形に化けて、電話のふりをするまでになっています。

つまりは偉大な「ムーアの法則」の結果なのですが、工学の畑の産物であるはずの頭の足りない猫は、その凄まじい流れから既に遠いのだな、と実感する次第。

/* ムーアの法則半導体の集積についての経験則で、ロボット三原則と同様に「科学」の法則ではないのですが、ロボット三原則がSFの世界のスタンダードであるように、ムーアの法則は実際に半導体産業のエンジンとしてその進歩を促してきたのです。50年という目もくらむような長い年月に渡って。

ムーアの法則は、「半導体の集積度は2年で倍増する」というもので、つまり1981年を「1」とカウントする場合、2年後には「同じ性能が半額で手に入る」もしくは「同じ価格で性能が2倍になる」、という事になるのです。まあ製品の場合はチップ以外の部分も影響するから、必ずしもそうはならないのだけれどね。
ちなみにムーア博士はインテルという企業の共同創業者です。インテル社は、今年は盛大にムーア博士の業績を讃える事になるでしょう。*/




ところで、発展途上国の学習用途に携帯電話という話を持ち出したビル・ゲイツという人は、1981年には次のような発言をしています。

「640Kもあれば、誰でも十分だろう。」 ・・・ システムメモリの話ですが、当時のMSはDOSを出していました。

単位としては「K」はキロバイト。その3ケタ上が「M」でメガバイト。更に3ケタ上が「G」ギガバイト

この発言の単位はキロバイトです。メガバイトでさえもありません。・・・ 時の流れを感じますね。


ムーアの法則は、実際には「2の階乗」なので、例えば最初の10年の部分を見ると「1」->「2」->「4」->「8」->「16」->「32」という数字です。10年で能力が32倍になる /* もしくは価格が当初の3%になる */ というのはそこそこ大きなインパクトですが、「階乗」の影響力はその後も続けて働きます。

「64」->「128」->「256」->「512」->「1024」 ・・・ 20年後には最初の1000倍を超える能力が備わりました。更にそれは続きます。

「2048」->「4096」->「8192」->「16384」->「32768」 ・・・ 30年が経過し、さらにそれは増加し続けます ・・・「65536」->「131072」。

つまりビル・ゲイツという人の発言から34年が経過した2015年で区切ると、当時の13万1072倍の回路が、同じ面積に集積されているという事になります。そしてムーアの法則は、半導体回路の微細化によって既に終わりが見えているとされていますが、シュリンクは実際にはまだ続いていますので多分6年後の2021年には「1048576」、1981年の100万倍を超えている事になるでしょう。


そういった事実が、2020年のオリンピックでの「翻訳機」の話にもからんでくるのです。因みに初期のパーソナルタイプのHDDという代物は「10MBで10万円を超える」価格でした。そういった風にいろいろな事が猛烈な勢いで変化してゆく中で、50年もの間半導体産業全体が目標とし、頑張って達成してきたムーアの法則

生きている間に、その終わりが見られるかどうか、私にはわからないですが。