モノローグ:匿名という概念

 ハンドルネームは「匿名」ではありません。
 それは、ペンネームのようなものです。
 今回、話の筋を追っていて非常に気になったのが、「匿名でWeb上に書き散らしている」から信用ならない、という意見でした。

 実際には「/.J」では、一定期間議論に参加しているメンバーについては、誰がどんな種類の話題に強いのか、どんな傾向の発言をするのかなどがある程度把握できますので、ハンドルネームによって発言者を確定させ、発言の信頼性を一定のレベルで担保して、その後の議論が進む事も多いのです。誰の発言かわかっていると、発言の意味合いを誤認する事も減りますし。(もちろん、メンバーにならなくとも発言は自由にできますが)

 まあ、参加してからの期間が短かったりほとんど発言が見つからなかったりする場合などでは、たとえハンドルでコメントしていてもそこで話しているのが誰なのかはわからないという意味合いで、確かに「匿名(どこのだれだかわからない人)」という言い方が間違っている、とは必ずしも言えないなと思います。

 でも、kahoさんの場合は「10年を超える/.Jメンバー」で、かつ「科学関連、特に生物学関連の話題では、素人が誤認しないように会話の流れに気を配り、時に解説をするために自分で時間と手間を使って書き込みをする」という、非常に信頼されている、穏やかな人なのです。(以前はそうだったし、今もそうだと思います)


 また、ハンドルネームの使用は、実はその人が実名を隠しているという事を意味していません。ハンドルネームはサイトの仕様として必要とされているもので、例えば実社会の別の状況では実名で話をしていたりもするのです。繰り返しますが、ハンドルネームとは「匿名」ではありません。

 更に加えるなら、彼が今回書き込みをしたのは「メンバーがそれぞれ独自に管理している個人のスペース」で、誰がその書き込みに責任を持っているのかが自明な場所です。

 彼は「匿名 = Anonymous Coward」ではないし、「Web上に好き勝手な事を書き散らしている」のでもないです。



 今回は、STAPの話が、門外漢には手におえないわけのわからない展開になっている状況下で、「助けてkahoさん!」状態で彼の発言を待っているメンバーが少なからずいたと考えられます・・・そして、姿を現したと思ったら、彼は口をひらくなり「STAP細胞非実在」について語り始めたのです。

 それが発言を待っていたメンバーの網にかかり、情報を捕まえた人たちの衝撃とともに拡散され、大学の教授陣をはじめとするSTAPに関する推論を重ねていた研究者達に届くのに、さほどの時間を必要としなかったであろうことは容易に想像されます。

 たぶんそういった事もあって、今回彼の個人スペース(日記)では「メンバーではない、高い専門知識を持つ人達による議論」が行われたのでしょう。同じ学会に所属する研究者の方の発言と思われるコメントが複数みられますし、関先生の顔も見えます。JuuichiJigenさんも飛んできて何度かコメントしている事がわかります。発言はなさっていませんが、内容について自分のBlogで触れていらっしゃる研究者の方も多数いらっしゃいました。

 Webは、人と人とを繋ぐもの ・・・