「本当に言ってたのか?」

 さて、ここはさっきの酒場が有った街から少し離れた所にある学園都市。
 若者が一人、息せききってある研究家ギルドに駆け込んできました。

 顔見知りの若い研究家がけげんそうに尋ねます。「どうしたんだい?そんなに慌てて。」そう。駆け込んできたのは、その研究家ギルドのメンバーではなく、機械科学ギルドのメンバーだったのです。顔見知りではあるけれど、あまり親しい相手でも、ふだん一緒に働く相手でもありません。

 怪訝そうにしている研究家に、彼は話し始めました。「今まで隣町の酒場にいたんだけど、なんかいきなり『STAP調味料なんてないぞ』って言い出した人がいて・・・」そう続ける相手を、若い研究家はさえぎりました。「お前、酒場の酔っぱらいの言葉を真に受けてどうすんだよ。みんなそれが何なのか解りもしないくせに、今話題になってるから適当な思い付きを言ってるだけだぜ」 

 でも若者は真顔です。「違うよ。酔っぱらってなんかいないんだ。それにその人、話題になっている料理とか病気の話を分かりやすく説明してくれる、みんなにも信頼されてる人なんだよ。その人が、ものすごく怒ってSTAPって調味料は『偽物』だ、って言ってるんで、ここで聞けばわかるかなと思ってメモして飛んできたんだよ」

 若い研究家は半信半疑です。でも、渡された紙を読み進めてゆくうちに顔色が変わりました。「これ、本当にそういってたんだな?」 若者に確かめると「ギルド長にすぐに報告しなきゃいけない。説明は後でするよ。ありがとう」、と言いながら彼は急いで長の元へと駆け出してゆきました。

STAP QUEST