タミフル訴訟、原告敗訴

今日はいろいろな事を思い出させるニュースが続いています。

タミフル訴訟、原告敗訴 転落死した子どもの遺族

 インフルエンザ治療薬タミフルの服用後に転落死した子どもの遺族が、副作用による異常行動を認めず、遺族一時金を不支給とした決定は不当として、独立行政法人医薬品医療機器総合機構」(東京)に取り消しを求めた訴訟の判決で、名古屋地裁(福井章代裁判長)は19日、「飛び降りなど異常行動の原因がタミフルだったと証明されたとはいえない」として原告側の請求を棄却した。

 2005年2月に自宅マンションから転落死した愛知県知立市の中学2年秦野皓平君=当時(14)=の遺族と、07年2月に転落死した同県蒲郡市の中学2年の女子生徒=同(14)=の遺族が10年10月に提訴していた。

共同通信】2015/03/19 12:41
http://www.47news.jp/CN/201503/CN2015031901001203.html

胸が痛くなるような事件でした。

これは私が科学ニュースあらかるとを運用していた時期の話で、当時服薬後にマンションから転落死した男子生徒の死亡原因を巡って、「タミフルがインフルエンザ患者での異常行動を引き起こした」かのような報道がなされたのです。

私はまだ小さかった頃、インフルエンザ感染を経験しました。熱が高くて見守っていた母が少し眠った間に、私は夜中に納戸からお膳を出して、客膳を整えるという行動をとっていたそうです。

そういった類の「異常」な行動は極端なものでしょうが、実際には小児をインフルエンザ治療を担当する病院・診療所では、服薬前の段階でも「異常な行動」は多数みられる事が知られています。そして、タミフルを服用するとウイルスとの闘いが続いている一方で身体的にはより楽な状態になるため、子ども達がより活発な行動をとれるようになった結果痛ましい事故が生じた、というのが事実に近いのではないかと考えられています。


タミフル」という薬自体が、異常行動を引き起こしていた、という可能性は他の薬物の投与後、何も薬物を投与していない状況での異常行動が報告された事から、否定的な見方が多かったと記憶しています。

また、その後の2009年のインフルエンザ・パンデミックで、世界規模でタミフルの処方が行われていますが、流行が終息した後も「タミフルが異常行動を引き起こしている」、という警告は出ていません。タミフルの有効性に関する疑義はその後に出ているのですが。


何にしろ、お子さんをなくされた親御さんの無念は、長く長く尾をひくのだな、と改めて感じます。気の毒で、言葉がありません。